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ソルティー

塩畑 貴志(ソルティー)ともうします。

中学の頃、完全に記憶喪失になり、普通のレールに乗ることが夢に

情報処理を学んだ後、プログラマーとして入社し、その後、笠間市ICT支援員としてICT技術を市内の先生たちに教えました。

学校を支援していく中で、教員の負担が増え続けている現状を知り、「教員の負担を減らし、子供たちを見る時間を増やしたい」という想いで教員支援ネットワークT-KNITを立ち上げました。

現在はコミュニティスクールのサポートをメインで行い、学校の先生を支えたいと思う人を増やすため、講演活動や、勉強会に力を入れています。

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小さな積み重ねが人の人生を充実させる

価値のある教員人生とは?

ー薄井先生の主観でかまわないのですが、学校の先生にとって、価値のある幸せな人生ってなんだと思いますか?

自分としては、人の人生を充実させていくっていう裏方に回ることですね。極端な話、人の人生を預かっているので。

子供たちが10年後20年後に教員になりたいという子もいます。

はっきりとこうなりたいという夢があって、それに対して「こうすればいいよ」という自分のアドバイスが生きて、子供たちが「そうしてみよう」とかなりますよね。

 

小さいことでいうと授業中に「こうすればいいよ」といって問題が解けるようになったとか、そういった積み重ねが人の人生を充実させていくっていう裏方に回る喜びっていうんでしょうかね。

それはすごく感じています。

ーなるほど。では今の質問は未来のことでしたが、今大事にしていることってなんですか?

今、大事にしているのは課題の設定という部分です。

自分自身が、子供たちのやらなくてはいけないことをはっきり意識させなくてはいけないんだなぁというのが難しいし、また楽しいなと思うところです。

 

授業でも、例えば「今日はこういう授業をやりましょう」、「タブレット使っていいですよ」、「最後に発表してみましょう」と言った時に、その課題が子供たちにとってストンと入りやすくわかりやすい課題であったら、「じゃあやってみよう」とまっすぐ進んでくれるんです。

「一時間でこんなに成長するんだ!」、「こんな発表できるんだ!」っていうくらいに進むんです。

でも、それをこちらが下手にあれこれ言ってしまうと、クラス全員の方向が違う方に向いてしまって、話し合っているようで口喧嘩になっていたりとか。

 

「先生はこう言ってたよ!」「いや、こういう意味だよ!」とかお互い理解していないから話がぶれていて、いざ発表するときにも話が全然煮詰まってなかったりとか、まとまってなかったりというのが出てきてしまうので…

ちゃんと、今日はこの時間で“子供たちにこの力をつける!”というのをきちんと自分の中で決めるということをしないと、授業って難しいんだなと思います。

 

子供って一生懸命なので、やっているけれどもテーマから暴走してしまうこともあるんです。

そうなるとせっかく一生懸命でも評価ができないということになるので、自分がきちんとテーマを持たないと大変ですね。

 

ミッションみたいなもので、ゴールはここですよというのを決める。

好きな道通ってもいいけど、ルールはきちんとあって、テーマやルールがしっかりしていないと話し合いが充実しないので、そこを気をつけないといけないなと思っています。

自分がゴールで待っていられるような形ですね。

ー今後やってみたい授業はありますか?

やってみたい授業は、もし、なんでも揃っているとしたら自分たちを全身センサーだらけにしてしまって、ホログラムを使って人体模型がバン!と出てきたり、実物でもいいんですけど(笑)。

セッティングする時間がもったいないので、自分の体の動きで黒板が変化するとか。

自分にプロジェクションマッピングを映すとか、机の上に映すとか、はっきりと操作していなくても自分の向きで魔法使いみたいにヒントをだしたりとか、できたら楽しいですね。

子供が「テクノロジーってすごいな」って思ってくれるような授業も面白いかなと。

ICTは道具の一つ。「情熱」が教師としての自分を形づくっている。

ICTも道具の一つ。ノート、黒板、定規と同じ。

ーそういえば、以前Facebookに書き込みあったじゃないですか。『薄井先生からICT取ったら何が残るの?』って。

あぁ、ありましたね。

ー何が残ると思いますか?

うーん、別に難しい問題じゃないですね。

ICT取っても『薄井直之』にちょっと乗っかってるだけなので。道具の一つですから。

普段やってる学級経営とか、子供と毎日話してますよとか、授業づくりは先程言ったように課題をしっかり持ってやりたいなぁとか、丸つけしっかりしてあげたいなという情熱ですよね。

 

今、頑張ってる熱意とか、仕事に対するプロ意識のところでICTはきっかけでしかないですね。

だからICTを引いたところで別になくても構わないですよという部分と、あると便利かなというくらいです。

ー例えば考え方は、校長によって変わるじゃないですか。「うちはICTやらないよ」というところとか。例えばそういったところに行っても今までどおりに授業ができますか?

まぁ…、そうですね。

授業はできるけど、逆に授業を作るのに時間がかかってしまうかもしれないです。

 

今はICT使ってすごく便利だというのがでてきたので…。

昔は3階の職員室から降りてきて、また戻って、「あれ、紙のサイズが合わない」とか「文字が潰れちゃった」とか、「色の部分の面積を求めましょうの色の部分がわからない」とかあって、印刷し直すので大変だったんです。

 

今は全部タブレットを使うとカラーで、しかも印刷しないで配れたりするので。

その便利さを知ってしまったので、戻れないといえば戻れないですね。何か違う工夫を考えないといけないです。

 

白黒で授業をどう作るのかと、タブレットでどう授業を作るのかって方向性は違うけど、やりやすい授業につながるという意味ではやっていることは変わらないですよね。

成功の裏の努力に目を向けさせる

成功をするためには歩き続けなければならない

ー薄井先生って、どのぐらいの年代の子供を担当しているんですか?

ここ4年は6年生の担任ばっかりですね。

ー6年生の子供たちの印象ってどんな感じですか?

うちの学校は素直な子が多いので、傍から見たら幼く感じちゃうかな。

意外に自分の事分かっているようで分かっていない。

 

だから勝手に「自分は算数苦手だからもうやらない」とか思っちゃってるような子が、思ってるだけで、やってみたら意外と解けたとか。

 

知識とか経験が足りないのは子供だからしょうがないんですけど、その割にテレビとかYouTubeとかネットでちょっとレベルの高いものを見てしまって、意外と自信のない子が多いんです。

今の子はそういったネットの影響を強く受けているなぁというのはあります。

 

同じ年代でこんなにできているとか、あとは世間を知らない年齢なのにネットで世界を知ったつもりになっているので、簡単そうに見えてしまって、その結果「YouTuberになりたい」とか出てくるのかなぁと思いますね。

 

YouTuberって裏ではすごく努力していますよね。

取材して、編集の構成を考えて、なんだったら弁護士をつけて訴訟対策をしたりしている状態でやっているのに、そこは表には出していない。

 

表に出していない部分を子供たちは想像できないので、楽しそうにやっているだけでお金稼いでいる仕事だって思ってしまう。

そこもきちんと意識させようというのは力を入れているところです。

ー薄井先生が体験したことでもいいんですが、子供たちが今一番大変なことってなんですか?

うーん、うちのクラスの子は勉強苦手なんです。

“苦手だったらやりたくない”という気持ちと、“苦手だからやらなくちゃいけない”という気持ちがあって、その割には逃げ道がたくさんあるんですよ。

外では遊んでいないけど家の中ではゲームもあるし、YouTubeもあるし、真剣に物事に取り組めない自分っていうんですかね。

そういう子が今年は何人かいるんですよ。

 

6年生になると、市内の外の子との交流が結構あるんです。

陸上記録会とか、市内の全6年生が集まって、こういう人もいるんだなという中で「自分は意外に低いんじゃないか」とか…、

「いや、自分が上なんじゃないか」と競いあうんですけど、意外に自分のこと知らないので、そこで人のいいところと比べてしまったり。

 

意外に今の子供たちって、自分と真剣に向き合ってくれる人が少ないのかもしれないです。

先生たちもあまりきつく言い過ぎると言葉でも体罰扱いになってしまうので、やんわり言う。

でも、実際社会にでると結構キツく言われますよね。

ーそうですね。

学年が上がるにつれて求められるレベルって更に上がってくるんです。

「え?これって○年生でやってることだよ」って言われてしまうんですよ。

そうすると、落ち込んでしまうんです。

 

今までガツンと熱く言う人が少ないと、どうやっていいのか分からないってなってしまうんですよね。

分からないから、とりあえずネットで調べてみようとか。

 

そうではなくて、ガツンと言われて「やってみろよ」と言われたらまず「やってみよう!」で実際やってみたら「出来た」、「嬉しいな」って。

 

やってみた体験というのが足りないのは今の子に感じるので、結果的に色んな面で悩みに繋がるかもしれないです。

「今まで勉強しておけばよかった…」とあとで気づく子が多いんですよ。

 

じゃあ今やっているのかというと、やっていないんです。「やれ」って言う人が少ないし、今までに言ってくれた人もいないし。

 

逃げようと思えばいくらでも逃げられちゃう。

そこをしっかり向き合ってくれる人が多いほうがいいかなと思います。

向き合うとやっぱり熱くなってしまうので、そこは難しいんですけど。

逃げる経験しかないんですよね。

ー薄井先生が子供たちを見てきた中で、今までで一番喜んでいたことってなんですか?

郊外体験学習

新しいものを見る、知るというのが一番刺激になっていて。

郊外学習で、国会議事堂とか日本科学未来館とかの施設を回るんです。

 

そこで、チームラボという会社のテクノロジーの最先端技術を見たりとか、プログラミングしてあるおもちゃを見たりとか、新しい技術を見て圧倒されつつも楽しい。

 

それでそこに算数も関わってくるし、勉強した結果がこれなんだというのが分かって「じゃあこれやってみようかな」と意欲に繋がるんです。

 

あとはiPadの導入も、これで授業をやるとわかりやすい!という時の目の輝きとか。

最新テクノロジーに限らなくても、新しいものを知ったときとかは本当に嬉しそうですよね。

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